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水のコラム

浄化槽から下水道へ切り替えるには?手続きと工事の流れを解説【水道職人:プロ】

2026年09月02日 2026年09月02日 水回り


お住まいの地域で公共下水道が使えるようになると、浄化槽を利用している家庭には、自治体から接続についての案内が届きます。
案内が届いたあとは、工事を依頼する業者を探し、必要な申請や見積もりを進めていくことになります。
 
浄化槽から下水道への切り替えは、ただ配管をつなぎ替えて終わりというものではありません。
使わなくなった浄化槽の清掃や廃止手続きなども必要になり、住宅の状況によって工事の範囲や費用もかなり変わってきます
また手続きや利用できる制度なども自治体ごとに異なるため、自治体からの案内に沿ってしっかりと準備を進めることが大切です。
 
そこで今回のコラムでは、浄化槽から下水道への切り替えに必要な手続きや工事の流れ、また費用を考える上で確認しておきたいことなどについてわかりやすく整理しながら解説します。

浄化槽と下水道の違いについて


浄化槽と下水道の大きな違いは、家庭から出た生活排水をどこで処理するかにあります。
 
浄化槽の場合は、敷地内に設置した槽へ生活排水を一旦集め、微生物などの働きによって汚れを分解してから放流します。
自宅ごとに排水を処理する仕組みのため、使っている間は保守点検や清掃が不可欠。
またこれらとは別に、適切な維持管理が行われているかを確認するための法定検査も、毎年1回受けなければなりません
 
(参考:環境省「浄化槽のひみつ」
 
一方、下水道へ接続すると、生活排水は道路の下にある下水道管を通り、地域の処理場でまとめて処理されることになります。
浄化槽の保守点検や清掃は必要なくなりますが、その代わりに下水道使用料などがかかるため、排水に関する負担がすべてなくなるというわけではありません。
 
また下水道へ切り替えたあとも、敷地内の排水管や排水桝に関しては、引き続き所有者側での管理が必要です。
排水を処理する設備は公共の施設へと変わりますが、自宅側の配管につまりや破損が起きた場合は、自分で修理を手配することになります。

下水道への切り替えは原則として必要


地域で下水道の利用が始まり、その場所が公共下水道の処理区域になると、建物の所有者は、生活排水を下水道へ流すための排水設備を設けることになります。
下水道法では「遅滞なく」設置するようにと定められているため、浄化槽が問題なく動いていたとしても、原則としてそのまま使い続けることはできません
 
ここでよく混同されやすいのが、「3年以内」という期限について。
下水道法で3年以内と明確に定められているのは、「くみ取り便所を水洗便所へ切り替える場合」であって、浄化槽から下水道への切り替えに関しては、全国一律の3年という期限が設けられているわけではないんです。
 
ただし、一律の期限がないからといって、いつまでも先延ばしにできるわけではありません。
自治体の案内には接続時期の目安が示されていることがあり、助成や融資制度にも申請期限が設けられている場合があります。
通知が届いたら、地域の取り扱いを確認しつつ早めに準備を進めましょう。
 
浄化槽を新しくしたばかりのご家庭や、敷地の都合ですぐに工事を行うのが難しい場合であっても、自己判断で先送りなどせず、まずは自治体の下水道担当窓口へ相談することが大切です。
 
(参考:e-Gov法令検索「下水道法」

下水道へ切り替えるまでの具体的な流れ


下水道への切り替えに関して、必要な書類や申請方法は自治体によって異なりますが、全体の流れ自体はおおむね次のような順番で進みます。

  1. 自治体の排水設備指定工事店へ相談する
  2. 現地調査を受けて見積もりを確認する
  3. 工事計画の確認申請を自治体へ提出する
  4. 自治体の確認後に工事を行う
  5. 完了届と下水道使用開始届を提出する
  6. 完了検査を受けて浄化槽の廃止を届け出る

 
実際に下水道への接続をするとなった場合の最初の相談先は、自治体から指定を受けた「排水設備指定工事店」です。
一般的な水道修理に対応している業者であっても、この指定を受けていなければ下水道への接続工事は行えません。
申請書類の作成なども工事店が手伝ってくれることが多いため、見積もりとあわせて手続きの範囲についても確認しておきましょう。
 
工事の内容としては、これまで浄化槽へつながっていた宅内の排水管を切り離し、公共桝を通して下水道へ流れるようにつなぎ替えるといった作業です。
実際の作業中はトイレやキッチンなどを使えない時間が生じますので、工事日とあわせて水回りを使用できない時間帯なども聞いておくと安心です。
 
また使わなくなった浄化槽については、内部を処理した上で、撤去や埋め戻しの作業を行う必要があります。
敷地の状態や浄化槽の設置場所によって最適な方法も変わりますので、どこまでが工事内容に含まれているのか、必ず見積もりの段階で確認しておきましょう。
そして工事の完了後、下水道の使用開始と浄化槽の廃止について、それぞれ自治体に届け出れば手続きは終了です。
 
(参考:山口市上下水道局「排水設備工事のご案内」

切り替えにかかる費用や支援制度について


切り替え工事にかかる費用は、公共桝までの距離や配管の通り道、また浄化槽をどのように処理するかによってもかなり変わってきます。
見積もりを確認する際は、次のような作業が範囲に含まれているかどうか見ておきましょう。

  • 宅内の排水管を公共桝へつなぐ工事
  • 浄化槽の清掃や撤去・埋め戻しに関する作業
  • 掘削した庭や駐車場などの復旧作業
  • 申請書類の作成や手続きの代行

 
特に金額へ影響しやすいのが、配管を新しく通すための距離と地面の状態です。
庭の土を掘るだけで済む場合と、コンクリートの駐車場などを一度取り壊してまた元に戻す場合とでは、必要な作業量が大きく変わります。
浄化槽についても、埋め戻すのか完全に撤去するのかで費用に差が出ますので、総額だけでなく工事の内訳までしっかりと確認しておきたいところです。
 
また工事費とは別に、地域によっては下水道事業受益者負担金という費用がかかることもあります。
これは下水道の整備費用の一部を土地の所有者などが負担するもので、金額や納付方法については自治体ごとに異なります。
基本的に工事店の見積もりには含まれませんので、自治体から届いた案内もあわせて確認するのもお忘れなく。

利用できる地域の支援制度を確認する

自治体によっては、下水道への切り替えに伴う費用を支援するため、助成や融資の制度を設けていることがあります。
対象となる工事や申請の期限はそれぞれ異なりますので、工事店と契約する前にしっかりと確認しておきましょう。
 
ちなみに山口市でも、公共下水道への切り替えに伴う改造工事について、要件を満たす方を対象に、融資のあっせんと完済後の利子補給制度を設けています。
ただし、利用するためには色々な条件が設けられていますので、見積もりを依頼する段階で市の担当窓口や指定工事店に相談しておくとスムーズです。
 
(参考:山口市上下水道局「トイレの水洗化工事資金に対する融資あっせん」

工事の完了後に確認しておきたいこと


切り替え工事も完了し、いざ下水道の使用が始まったら、キッチンや浴室、洗面所、トイレなど水回りの設備をひと通り使ってみて、排水がスムーズに流れるか確認しておきましょう。
配管の経路が変わったことで、流れの悪さや異音、下水の臭いなどが現れるケースもありますので、違和感を覚えるようであれば、担当した指定工事店へ早めに連絡してください。
 
また浄化槽の廃止手続きも、必ず忘れずに行うようにしてください。
工事が終わって浄化槽を使わなくなっても、廃止届が提出されていないと、行政上は使用中として扱われてしまうことがあります
保守点検や清掃などを定期契約していた場合は、契約先にも廃止したことを伝えておきましょう。
 
ちなみに、工事の図面や完了検査に関する書類などは捨てずにまとめて保管しておくことをおすすめします。
将来的につまりや水漏れが起きた際に、新しくなった排水管の経路が分かれば、点検や修理もスムーズに進みますので非常に便利です。

下水道への切り替え通知が届いたらまずは自治体へ確認を

浄化槽から下水道への切り替えは、業者へ連絡するだけですぐに始められるというものではありません。
接続の進め方や申請方法、利用できる制度は地域によって異なるため、通知が届いた段階で、まずは自治体の案内をひと通り確認しておきましょう。
 
確認すべきポイントとしては、公共下水道の供用開始日や接続時期の案内、指定工事店の一覧、利用できる融資や助成制度などです。
通知に記載されていない点や判断しにくい部分があれば、自治体の下水道担当窓口へ問い合わせておくと、その後の見積もりや工事の相談も進めやすくなるでしょう。
 
自治体で条件を確認し、その内容をもとに指定工事店へ相談する。
この流れを押さえておけば、制度の申請漏れや、工事内容をめぐる行き違いも減らせるはずです。
金額だけで決めてしまうのではなく、浄化槽の処理や必要な手続きまで含めて確認した上、納得できる内容で切り替え工事を進めてみてください。

※本記事でご紹介している方法は、一般的な対処法の例です。
作業を行う際は、ご自身の状況や設備を確認のうえ、無理のない範囲で行ってください。
記事内容を参考に作業を行った結果生じた不具合やトラブルについては、当社では責任を負いかねます。
少しでも不安がある場合や、作業に自信がない場合は、無理をせず専門業者へ相談することをおすすめします。

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